原稿用紙

原稿用紙

 原稿用紙

 

やはり満寿屋の原点は、         

多くの作家に愛された、この原稿用紙です。

 

 

川口ヒロ

川口ヒロと丹羽文雄先生の出会い

明治15年当社は川口商店としてスタートしました。創業者川口幸吉(こうきち)は手漉き和紙の進物用砂糖化粧袋を中心に営業をしておりました。時代が第二次大戦に向かうと砂糖は統制品となり、そんな厳しい状況の中、後の三代目川口ヒロは作家・丹羽文雄先生と出会いました。作家に憧れる文学少女であったヒロは、早稲田の喫茶店「さんざし」でそこに通う丹羽先生と話をするようになり、ある時こう言われたのです。「君の家は紙屋だろ。僕らの原稿用紙を作ってくれよ。」物資の不足から、作家たちも原稿用紙の入手に頭を悩ませていたのです。このような経緯から、満寿屋の原稿用紙は全く一からのスタートを切ることになったのです。

 

 

 

クリーム紙開発の経緯

当初は仕入れた紙、いわゆる既製品の紙を用いて原稿用紙を作っていました。紙質は規格にある中から選ぶということになりますが、紙のメーカーには常に在庫があるため、当社で紙の在庫を抱える必要がないというメリットがありました。しかし、大きな転機が訪れました。第一次オイルショックです。原稿用紙に使う紙が手に入りにくい状況になってしまったのです。紙について、見つめ直すきっかけとなりました。これを機に、先々のことも考えた上で、『満寿屋オリジナルの紙』を作る決断を致しました。もちろん、せっかく作るのですから、原稿用紙に最適な紙を作りたいと考えました。作家さんの多くがお使いになっている万年筆での筆記に適した紙、というのが目標となり、製紙会社と力を合わせた開発が始まりました。パーカーやシェーファー等、海外製のインクも使ってテストを繰り返し、生まれたのが満寿屋のクリーム紙です。スポットライトの照り返しで目に負担がかからないよう、光の反射を和らげる、クリーム色の紙と致しました。満寿屋の命とも言うべき、オリジナルのクリーム紙はこうして誕生したのです。

 

 

罫線の種類の多さについて

罫線の種類の多さについて

作家さんからの依頼で始まった原稿用紙作り。様々な罫線は、作家さんのご要望によって作られてきたものです。現在たくさんの種類の罫線が存在するのは、いろいろな作家様のご要望にお応えする中で出来たもの。まさにプロ仕様の原稿用紙なのです。

 

 

お名入れサービスを始めた経緯

お名入れサービスを始めた経緯

作家さんが執筆に用いる原稿用紙ということで、雑誌等で取り上げて頂くうちに、一般の方からも「私も是非名前入りで作りたい」とのご要望を頂戴するようになりました。当時作家さん向けにお名入れする最低数量は、美濃判で4,000枚、B4判で4,500枚でした。仕事としてお使いになる作家さんであれば、そのくらいの枚数であっても使い切るのにそれ程時間を要しません。しかし一般の方にとっては4,000枚は多過ぎます。そこで満寿屋はいろいろと方法を考え、最低1,000枚からというお名入れサービスを始めることにしたのです。現在もこのサービスは受け継がれ、ご好評を頂いております。

 

 

ハガキサイズ原稿用紙

ハガキサイズの原稿用紙

現在の満寿屋の原稿用紙ラインナップは全部で35種類。サイズは、美濃判、B4判、A4判、B5大判、B5判、ハガキサイズと、実にバリエーション豊かです。その中でもハガキサイズは一際小さく、とてもかわいらしい存在です。中身も、グレー罫の原稿用紙をそのまま縮小したものや、色鮮やかな3色からなるタイプまで様々で、ワクワクするような一品に仕上がっております。どうしてこんなに小さな原稿用紙を作ったのか。それは、もっと気軽に原稿用紙を使ってもらいたい、という思いからでした。小学生の頃の苦い思い出があるからか、『原稿用紙』に対して苦手意識を持っておられる方が多い気が致します。また大人になってからは、普段の生活の中で原稿用紙を用いる場面に遭遇される方はあまり多くないかも知れません。いざペンを持って原稿用紙の前に座ってみると、何を書いて良いものやら悩んでしまいがちです。そこで「升目に字を埋める」ことを気にしなくて済むのではと考え、敢えてここまで小さな原稿用紙を作りました。「縦書きでも横書きでも、升目を気にせず、自由に書いてみて下さい」「一筆箋代わりに、誰かに気持ちを伝える用途としてお使い下さい」このようにご案内しております。もちろん、升目に字を入れてはいけないということではありません。サイズは小さいですが、スペックは他の原稿用紙と全く一緒です。あまり『原稿用紙』であることを意識せず、ご自分なりの方法でお使い頂ければ幸いです。